「同じ空の下で…」
サラダの材料をガラスボールに入れると、巷で定評のあるドレッシングをシェイクして振り掛ける。

さっきゆであがったばかりのパスタをあらかじめ炒めていた野菜達と絡めて味を整えると、お気に入りのガラスの器に丁寧に取り分けた。


「頂きますっ!」

「召し上がれ~」


瞬が食べ始める姿をじっと上目使いで観察し、彼の評価を気にする。


「うまっ!あれ、お前、食べないの?」

幸せそうにパスタを口いっぱいに頬張る瞬を見て、安心する。

「良かったぁ…美味しくないって言われたらどうしようかと…」

「実際まずくても、そんな顔されたら、言えねーし♪」


誰かと食べる食事は格別の味がする。

殊に一緒に食べてる相手が大好きな人ならば、尚更、味に風味が増す。


食事を終えると、瞬はお皿を洗う為、キッチンへ立つ。

Yシャツのカフスをはずし、捲り上げると器用に慣れた手付きで皿を洗い始めた。

「ありがとう…私、拭くね。」

隣に立つと、ピカピカになったその皿を磨き始める。

「俺、皿洗いとか結構好き。お袋にいつもやらされてた。」

「ふ~ん。手際、いいもんね♪」

「料理を作ってくれた人への感謝の儀式だ。」


手を泡だらけにしながら、瞬は淡々とお皿を磨く。
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