「同じ空の下で…」
恥曝し……


そんな風に思われても構わない。


最初はそう思った。


だが、金沢に向かう移動中…俺は思った。




今ここで、艶香との時間を優先し、アメリカ行を蹴ったとしたら、


その後、2人の将来を考えた時に艶香の立場が明らかに、悪くなる。


俺の家族の中で孤立してしまう。




『俺のアメリカ行きを阻止し、またとないチャンスを簡単に奪った女』




そんな扱いを受けて、艶香にとてつもない苦労を背負わせてしまう事に成りかねない…

そう思った。




その事に気づくと、俺は…柄にもなく一人、葛藤を繰り返した。




艶香の事を思えば、今ここで別れを決めるべきなのか。


それとも、今始まったばかりのこの関係を大事にするべきなのか。





・・・・────艶香、

お前なら

どっちを選べと

言うだろう・・・・────。




自分の事を自分で決めれない情けない俺が、そこに居た。

艶香に決めて貰おうなんて、非道な考えを拭い去ろうとした。


何を考えてるんだ、俺は・・・・────。




窓の外に目を移すと、静かに目を閉じた。


誰のものでもない、自分のこの先を

深く考えてみた。




あいつに、出会わなければ、良かった・・・・────。



< 137 / 646 >

この作品をシェア

pagetop