「同じ空の下で…」

「瞬、この部屋には、忘れていった理性があるはずだよ?」

ベッドの上、瞬に包まり、そして瞬の体温を体全体に感じながら、私は呟く。


「…そうだったな。理性…どこに…隠した、艶香?」


「…燃えるごみに出したかも…。」


「…じゃあ、俺は、この部屋で理性を駆使する必要は無いわけだ。」


そう答えると瞬は私の肌を柔らかい手付きで撫で回す。

「…もう会わないのに、これ以上刺激するのは、反則だよ…?」

漏れそうな声を抑えながら、瞬の体温を確かめ、その手付きに身を委ねる。

駄目だ。

私は本当にこの人の事を忘れる事なんて出来るのだろうか。


「艶香…」

「・・・・ん?」

「俺が…またお前に触れそうになったら、阻止してくれ。」

「…わかった。」


分かったふりをするが、私はそれが出来る自信がない。


「明日で、二人で行動するのは終わりだな。」



「…そうだね。私たちは…こうなる前の二人にリセットする…。」




「もう、キスしない。」



「もう、手…繋がない…」



「…抱きしめない。」



「…体を触らない…。」




「・・・・約束だよ。」



「分かってる…。」


「ここにも、来ない…」


「・・・・・あ~…無理に決まってる…!」



「…自分で言ったんでしょ、瞬。」





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