「同じ空の下で…」
――――――――明け方。
けたたましく鳴る互いのスマホの目覚まし音で目が覚める。
うっすらとゆっくり目を開けると、体が動かなかった。
ゆっくりと目線を移すと隣には瞬が眠っていた。
あのまま、私たちは眠ってしまった。
そして2人で朝を迎えていた。
もう2人で会わないなんて約束したのに、雰囲気に任せて、私は随分な我儘を瞬に言ってしまった気がする。
「…ごめんね、瞬。」
愛しい寝顔を見つめ、そのまま頬に触れながら、私は小さく謝った。
彼の体温を感じながら、今この時を…忘れまいと。
瞬を起こさないように、彼の抱擁からすり抜け、その辺に散らばった服をかき集め、胸を覆い、バスルームへ向かった。
瞬、あなたとの記憶も、こんな風に…洗い流して忘れられたらいいのに。
シャワーから上がると、いつもの朝と変わらず、出勤の支度をする。
トーストを取り出すと、それをトースターに入れ、ミルクを温めるとインスタントコーヒーを混ぜカフェオレを作る。
おかずには、今日は…ハムエッグ。
いつもとの違いは、2人分作っている事。
気配に気づいた瞬は、目をうつろにして、ベッドを探り私を探した。
「…艶香…?」
「お早う…。私、先に出るね。」
「…やべぇ…。俺、寝ちゃったのか…。」