「同じ空の下で…」

「今日は一緒に出勤しよう♪」

「…いいよ。」


朝食を2人で食べ終わり、私が支度している間、瞬はシャワーを浴びた。

起き掛けに、あんなにまどろんだひと時を過ごした割には、いつも通りここを出る事が出来そうだった。

駅までの道のりを2人で歩く。


「今日はスポンサー巡り最終日だな。」

「…そうだね。」


冷え込んだ朝の空気はなぜか美味しい空気に感じてしまう。

いつもより一回り大きくむくんで佇んでいる雀が、その寒さを物語っているような気がした。


「…迎えに…行くな?」

「…うん。」

「元気、ないな艶香。」

「…当たり前じゃない…。」


瞬との時間が楽しければ楽しい程、私は落ち込んで行く。

今、この時を素直に楽しめばいいじゃないか!

そう思うのだが、やはり、今、そこに居るこの人はいずれ目の前から居なくなる事を考えると、手放しで喜ぶ事が出来ないで居た。

もちろん、日本に居る間、彼の傍に居たいと言ったのは私だ。


「…らしくねぇぞ!」


そういって頭を小突かれ、私はやっとその事を考える事から離れる事が出来た。






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