「同じ空の下で…」



「…そだね。」


「朝からそんな顔、見たくないし。」

「…うん。」

「介護のおっさんも、心配すんぞ?」

「だれよ、介護のおっさんって。」

「艶香を秘書にしてる、生意気なおっさん。」

「…ぶっ!まさか、常務の事いってんの?」


「…生意気だ、俺にしたらどいつもこいつも。艶香を顎で使うなんて!」

「…あたしは、顎で使われたりしてないし…。」



やっぱり、この人と居ると、私、泣けるほど、笑う事が出来る。



「じゃあ、また後で!」

「うん、連絡する。」


駅でそれぞれの路に別れると、私は通勤ラッシュに揉まれながら、職場へ向かう電車へ乗り込んだ。




瞬が日本を発つ時も、こんな風に軽く「じゃあ、また後で!」「うん、連絡する。」って、出来たらいいな…。




そんな事を思いながら、電車から見える窓の景色を眺めていた。


本当に私はハマっていた。

瞬との時間に溺れそうになって居た。


離れる事に…こんな気持ちになるならば、

出会いたくないなんて言わずに…

友達のままで居たかったとさえ、思ってしまった。

友達のままなら、きっと、彼の栄転(か、どうかは分からないけど)を素直に応援出来ただろう。





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