「同じ空の下で…」
その晩、亮太が戻る事は無かった。
その証拠に、
翌朝目覚めると いつも横で寝息をたてる亮太の姿はそこになかった。
一人、静けさの中、朝起きて顔を洗い
鏡を見ると、
左の頬に特に異常はなかった。
支度を済ませ朝ごはんを食べると
出勤した。
通勤電車の中、窓の外に目をやりながら、
色々な事を思い出す…
─────・・・・
昔はお互いにごく普通の仲だったと思う。
新入社員で、右も左もわからない私。
昼休みに行く自販機コーナーで、よく亮太を見かけ、気さくに優しく接してくれた。
まだ、秘書課に配属になる前の事。
私は海外企画部の事務として配属された頃の事。
職場の歓送迎会がきっかけだったと思う。
二次会に付き合わされて行った居酒屋の別室で、亮太の課の歓送迎会をやっていて、少しだけ話を交わしたのを覚えている。
付き合う迄、そう時間はかからなかったと思う。