「同じ空の下で…」
その日の仕事は忙しく、恋情に溺れている暇すら無かった。
いつもこうだったらいいなと、心の片隅でちょっとだけ思う。
毎日が忙しくて、あっという間ならきっと、恋焦がれてる暇なんてないだろう。
失恋に一番効くのは仕事だと、何かの雑誌で見た事がある。
私が今置かれてる瞬との関係は、どことなくそれに似てる気がした。
仕事が終わり、瞬に連絡をする。
[Title:終わったよ~]
[Text:今から退勤可能だけど、そっちはどうですか?]
すかさず、瞬からのメールが届く。
[Title:無題]
[Text:少し遅れると思う。近くのカフェで時間潰してて。申し訳ない。昨晩帰らなかった事で、仕事増えた件…。]
困った顔してる瞬を想像しながら、私は会社を後にした。
そして、近くのコーヒーショップで、瞬を待つ。
帰宅帰りのOLやビジネスマンが列を作るコーヒーショップで、見覚えのある背中を見つける。
いや、あの人がこんな所に居る訳ない。
こんな庶民が集う場所に…。
きっと他人の空似だろう。
「あ、・・・・英さん?」
「…ど…どうもです。」
軽く会釈をすると、彼は私に近づいてきた。