「同じ空の下で…」

「いやぁさ、今朝の件。…俺、艶香の家に泊るつもりなかったんだ。」


運転しながら、突然主語がなく話し出す瞬。


「思いっきり親父とお袋に怒られた。何かあったんじゃないかと心配したとか何とか…。電話ぐらい入れときゃ良かったよ。…爆睡だったもんな。てなわけで、仕事を増やされ、遅くなりましたごめんなさい。」

瞬の話を黙って聞いているフリをしてる私は、さっき聞かれた『瞬の存在』について一人考えていた。

彼じゃないけど、彼っぽい相手=瞬。

いや、やはり友達なんだろう。…でも普通の友達っていう間柄でもない。

「ねぇ、瞬。」

「ん?」

「さっき、聞かれて困ったんだけど、瞬の事、どう説明したらいい?彼氏って聞かれたんだけど…瞬は私の彼氏なの?」


「あ、そういえば…敢えて考えた事なかったな。」


「瞬は…私の事、誰かに聞かれた事ある?」


「あるよ。」


「じゃ、なんて説明したの?」


「・・・・今は言いたくないな。じゃ、スポンサーフルコンプ達成したら、教える。」


「…わかった。」



その日、私たちは、互いに手を繋いだりすることなく、普通の友達みたいにして最後のスポンサー廻りを淡々とこなした。

いつもながら、事前に瞬が連絡を取ってくれている為、スムーズ且つ迅速でトラぶったりする事もなく事が進んでいって、本当に有り難かった。



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