「同じ空の下で…」
「今日でリスト、クリアしたよ。」

「おおっ!!そっか、ご苦労さん!…で、瞬は、別?」

「ううん、一緒だったけど。」


タケルに、今日預かったお金を渡す。


「瞬は?」

「もうすぐ来るんじゃないかな…?」

「…?喧嘩でもした?」

「…ううん、全然。」


いつも一緒の登場だった私と瞬だったのに、別々に現れた事に疑問をもっていたようなタケル。


「・・・・で、ごめん、今日は私、帰るね?」

「…あ、そっか。そのうち、打ち上げしよう!連絡するから。」

「…うん。ごめん、手伝えなくて。」

「…調子、悪いのか?」

「…別にそうじゃないけど…。ごめん。」

「そっか。お疲れさん」


柔らかい笑顔とメガネの奥の優しさにあふれた目のタケルに力なく笑いかけ、私はまた事務所の階段を駆け下りた。


下に降りると、丁度瞬と鉢合わせになる。


「おい、どした?帰るの?」

「うん。ごめん、今日は帰る。」

「…なした?」


怪訝そうに私の顔を覗き込む瞬。

「…ごめん。…今日は、ありがと。」


そう言い残すと私は駆け出した。




正直、瞬の顔をまともに見ることが出来なかった。

そして、瞬の事がよく分からなくなった。

そんな自分の気持ちも悟られるのが嫌だったし、もう、これ以上、瞬と一緒の時間を過ごしてしまったら、私は本当に…本当に…

瞬の渡米を素直に喜べない自分になりそうで、怖かった。

自分が嫌な人間に思えて仕方なかった。





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