「同じ空の下で…」
亮太との間に違和感を感じ始めたのは

二人で映画を見に行った後の事。

私はあの場面で感動しちゃったとか、あの場面でとても興奮したとか…

ひとりで映画についての感想をベラベラと話していた。


「…少し黙っててくれないかな?」


ちょっと苛立ち気味に亮太が言った。


「あ、ごめん…」


「映画見た後にそうゆう会話すんの、好きじゃない」

そう言うと、さらに続ける。


「お互いの感性の押し付け合いみたいで、嫌じゃないか?」

ただ純粋に映画みた感想を言っただけで、こんなにも責められる事に、

『私と亮太の価値観の違いだろう』

と、自分に言い聞かせた。

「気づかなくて、ごめんなさい…」

そう謝った事をいまでも覚えてる。

そんな些細な『価値観のズレ』っていうのは、

一緒に暮らしてみれば見るほど、どんどん出て来た。

そのことで逐一、機嫌が悪くなる亮太に

いつしか顔色をみて話すようになり、

やがて、自らの感情とか自分の気持ちとかを率直にぶつける事が出来ずに、



今に至る─────・・・・





< 16 / 646 >

この作品をシェア

pagetop