「同じ空の下で…」
タケルに指定された場所に定刻通りに行くと、結局いつもの飲み会メンバーの面々が集まっていた。
「艶香っ♪お久っ♪」
笑顔で肩を叩き、話しかけてくる瞬が本当に分からない。
「お、お久っ♪」
無理に作り笑いをしてる自分が、どうもしっくり来なかった。
『馴れ馴れしく触るんじゃないわよ!』
と、言ってやればいいのだろうか?
「元気してた?」
「元気だったよ。瞬は?」
「まぁまぁ元気!」
「珍しいね。ちょい落ち気味?」
「当たり前だろ…?」
いきなり表情が曇る瞬。そして、私をじっと見る。
「…な、何っ…?」
目で何かを訴える様に私を見てる瞬。
「…いや、何も。」
そして、自然に目線を逸らすと、私の横にさりげなく座った。
そういうのが恐怖で、私は敢えて別の席に移ろうとすると、
「何だよ。ここ駄目なの?」
と、ちょっと怒り気味で私の手首を掴んだ。
瞬の横でなんか飲んだら、また悪酔いしそうな予感が満載である。
だけど、瞬の質問に妥当な答えを出せずに居た私は素直にまた其処へ座り直す。
「ま、ここでもいいかな。」
無理に笑顔を作り、瞬の事を横目で見ると、今までに見た事もないような悲しそうな目でどこか一点を見ていた。
それは、私のせいなのかどうなのかは分からないけど。
ただ自惚れなのかもしれないけど、その顔に胸がトクンとなり、締め付けられるような気持ちで一杯になった。