「同じ空の下で…」
「…盛り上がってる?」
偶然なのか、それとも計算なのか、自分の横に同じように空いたグラスを持った瞬が居た。
「うん♪今、幼馴染と話してた~」
「へ~!どれどれ?」
ひときわ背が高いヒロの事を瞬に指さして教える。
「…チッ。男か…。」
そう言い残して瞬は悪戯に笑いながら、ドリンクを持って自分の所に戻った。
その瞬を目で追えば、瞬は瞬で女の子の輪の中で談笑している。
「何よ…自分もじゃん。」
独りごとをつぶやくと、またヒロの所に戻る。
「ご歓談中の所すいませんが、説明させていただきます。」
タケルの声が聞こえると、ヒロと共にステージを見る。
タケルが、イベントについての説明を始めた。
イベント───。
最初はいったい何の事やら分からずして、スポンサー巡りを始めた。
てっとり早く行ってしまえば、
大学の学園祭のような事を私たち同級生の手で、企画運営を全てやる…そんな感じだった。
毎年、この年齢に達した若者の出し物…のようなものだった。
私は例年のそのイベントを見てなかったし、全くイメージが湧かなかったけど、瞬が事細かく教えてくれた。
そして最後に一言。
「ほんとに地元に居たの?信じらんねぇ…。」
大学卒業後、社会人になってからの私の行動はほとんど亮太中心だったからね…。
地元のそんな祭りじみたイベントなんて、全く知る由もなかった。