「同じ空の下で…」

「…盛り上がってる?」

偶然なのか、それとも計算なのか、自分の横に同じように空いたグラスを持った瞬が居た。

「うん♪今、幼馴染と話してた~」

「へ~!どれどれ?」

ひときわ背が高いヒロの事を瞬に指さして教える。

「…チッ。男か…。」


そう言い残して瞬は悪戯に笑いながら、ドリンクを持って自分の所に戻った。

その瞬を目で追えば、瞬は瞬で女の子の輪の中で談笑している。


「何よ…自分もじゃん。」


独りごとをつぶやくと、またヒロの所に戻る。



「ご歓談中の所すいませんが、説明させていただきます。」


タケルの声が聞こえると、ヒロと共にステージを見る。


タケルが、イベントについての説明を始めた。





イベント───。

最初はいったい何の事やら分からずして、スポンサー巡りを始めた。


てっとり早く行ってしまえば、

大学の学園祭のような事を私たち同級生の手で、企画運営を全てやる…そんな感じだった。

毎年、この年齢に達した若者の出し物…のようなものだった。



私は例年のそのイベントを見てなかったし、全くイメージが湧かなかったけど、瞬が事細かく教えてくれた。

そして最後に一言。

「ほんとに地元に居たの?信じらんねぇ…。」

大学卒業後、社会人になってからの私の行動はほとんど亮太中心だったからね…。

地元のそんな祭りじみたイベントなんて、全く知る由もなかった。






< 167 / 646 >

この作品をシェア

pagetop