「同じ空の下で…」

瞬が日本を発つまで、あと5か月…かな。


瞬と歩きながら、私は再び夜空を見上げた。



「…寂しくなったら、空、見上げてね。」


「ん?」




「アメリカで、瞬が寂しくなったら、空を見て?きっとその時、私も同じ空を見てるから。」


「・・・・。」


「そして、『あ~、今、艶香も同じ空みてんだなぁ』って思ったら、少しでも、元気にならないかな?」


「ああ、そっか。…元気に…なれるかもなぁ。」


「瞬が空見てる時、私は瞬を思って空、見てるから。」


顔を上げ、瞬に笑いかけた。


「…うん、分かった。そうする。」


瞬もどこか物憂げに力なくだけど、私に笑ってくれた。



「…ありがとう、艶香。」


「ん?何で?」




「艶香に出会えて良かった。」


「私も、瞬に出会えて良かった。」


「…2年なんて、きっとあっという間だな。」

「うん、きっとすぐだよ。」

「あっちで、会えたら会おうな。」

「そだね。沢山お金貯めておくよ。」



その時、初めて渡米後の話をした気がする。


前みたいに、切ない気持ちが無く、今の私は前向きに現実を捉える事が出来ていた。


瞬の部屋につくと、私は瞬に沢山愛された。

今までに無い位に、深く、優しく愛された。


この幸せが永遠に続けばいいと…密かに願った。





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