「同じ空の下で…」

互いに果て、乱れた呼吸が正常を取戻すと、私は彼の腕枕で幸福に浸っていた。
さっきから瞬は、左腕を私の首に回しながらも器用に私の左耳たぶを指でぷにぷにと刺激している。

左耳に全神経を集中させながら、私は彼の適度に筋肉がついた左腕に触れた。

そして、二人で天井を見ながらどちらともなく話し始めた。


「…艶香…誕生日、いつ?」

「4月だよ…。瞬は…?」

「俺は8月…。艶香のバースデー、俺日本に居る時だな。」

「……うん。……お祝いしてよ、盛大に……」


……なんて、ほんとは思ってない。
誕生日なんて、別に嬉しくない。
とりたくない歳を…義務的にとるダケだ。

「…何が…欲しい?」

「…何も要らない…。」

瞬が居ればいい。
それだけで充分……


「…お互いの気持ちが・・・・」

「うん?」

相変わらず、私の左耳に刺激を与えながら、瞬が少し真面目そうな低音の声で話し始めた。


「…これからの2年、お互いの気持ちが、変わらずにいたら…」


「…うん?」


「…艶香を迎えに行く。その時、応えてくれるか?」


「…もちろんだよ。」

「そんなに、軽く答えるなよ。…今までになく、俺、真剣に話してる。」


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