「同じ空の下で…」
私も自分の荷物を適当に置くとタケルと自分の飲み物を準備する為にマグを取り出した。

「瞬と。ちゃんと上手くやってますか~~?」

「…どういう意味よ?」

「…ま、荒れてる様子もないし、大丈夫なのかな…」

「そっちこそ、由美とはちゃんとしてるの?」

「…由美とはそんなんじゃないよ。」

「…嘘?!絶対それはないな。」

「本当に、そんなんじゃないです。」

タケルの顔を疑いの眼差しで見ても別に慌てる素振りもなく、私は少しがっかりした。

「…瞬とは、喧嘩してる場合じゃないから…。」


「…あいつ居なくなると、寂しいなぁ…。」


その寂しさは私が一番痛感するだろう。

「…そだね。」


…思わず、本音を吐き出してしまう。


「でもさ、俺、あいつが羨ましい。男からしたらもの凄い羨ましい環境じゃないか?」


「…え?そうなんだ?」


「だって、ヘッドハンティングみたいなもんじゃん?」


「…そ、そうなの?」


「あれ?瞬に聞いてないのか?」




良く考えたら、どうして渡米するのかなんて、改めて聞いたことが無かった気がする。


「ジェームスって人と、仕事するって事しか…知らなかったけど、それってヘッドハンティングなんだ…?」
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