「同じ空の下で…」
「そうだよ。瞬のお父さんの知り合いから、ずっとラブコール受けてたみたいだけど?」
私は口を半開きのまま、タケルを見ていた。
"…ポカーン…"
表現するなら、そんな感じ。
「…ねえ、タケル。瞬は…一体何者なの?」
「…本当に艶香、知らないのか?」
「…うん。瞬に聞いてもただの家業の手伝いっていうし…。なんでアメリカ行くかなんて、知らされてないよ。仕事で行くって事しか知らない。」
「…瞬は、…瞬のお父さんの経営する会社の後継者だよ。」
「…ええぇ?!」
あたし、本当に馬鹿だと思った。
だだ瞬と居たいが為に、彼の事を待つ事にした。
そして、一緒に暮らせる事をただ単純に捉えていただけだった。
「…艶香、玉の輿じゃん?」
「…ぜんっぜん、知らなかったんですけど…。」
すると、タケルが珍しく声を出し、笑った。
「…ま、瞬は悪戯好きだからね。…2年後に艶香に素性を明かすつもりだったのかも。あいつらしいと言えば、あいつらしい。」
タケルにマグを渡すと、私は気持ちを落ち着かせる為に、タケルの横に座った。
「…そんな悪戯…笑えないわ…。」
「俺、言って良かったんだろうか…。瞬に後から怒られそうだな。」
「ううん、タケルには大いに感謝する。2年後にいきなり言われるよりマシよ。…瞬は…んもぅ!!」