「同じ空の下で…」

「そうだよ。瞬のお父さんの知り合いから、ずっとラブコール受けてたみたいだけど?」

私は口を半開きのまま、タケルを見ていた。

"…ポカーン…"

表現するなら、そんな感じ。


「…ねえ、タケル。瞬は…一体何者なの?」


「…本当に艶香、知らないのか?」


「…うん。瞬に聞いてもただの家業の手伝いっていうし…。なんでアメリカ行くかなんて、知らされてないよ。仕事で行くって事しか知らない。」


「…瞬は、…瞬のお父さんの経営する会社の後継者だよ。」


「…ええぇ?!」





あたし、本当に馬鹿だと思った。

だだ瞬と居たいが為に、彼の事を待つ事にした。

そして、一緒に暮らせる事をただ単純に捉えていただけだった。



「…艶香、玉の輿じゃん?」


「…ぜんっぜん、知らなかったんですけど…。」


すると、タケルが珍しく声を出し、笑った。


「…ま、瞬は悪戯好きだからね。…2年後に艶香に素性を明かすつもりだったのかも。あいつらしいと言えば、あいつらしい。」


タケルにマグを渡すと、私は気持ちを落ち着かせる為に、タケルの横に座った。

「…そんな悪戯…笑えないわ…。」


「俺、言って良かったんだろうか…。瞬に後から怒られそうだな。」


「ううん、タケルには大いに感謝する。2年後にいきなり言われるよりマシよ。…瞬は…んもぅ!!」


< 179 / 646 >

この作品をシェア

pagetop