「同じ空の下で…」
「迷惑じゃなければですが、ここではなんだし、食事でも…」
「…ごめんなさい…あの、昨晩の事…。」
「ん?」
「昨晩、考えました。私には荷が重すぎますので…すいません!」
自分でもよくわからない理由を告げると、安堂に向かって頭を下げた。
すると、安堂はくすくす笑う。
「そう言われるような気がしてました…。でも、ちょっと話だけでも聞いてもらえないでしょうか?」
結局、昼休みに入ると安堂と一緒に近くのカフェへ行った。
「実は、英さんの会社のご担当の方と、この後打ち合わせがあるんです。英さんのお仕事は、昨日それとなく由美に聞きました。偶然ですね。」
私の目をしっかりと捉え話す安堂は、嘘をいうような人間には見えなかった。
そういえば、この人、何の仕事してるんだろう…?
「あの、安堂さん、お仕事は、何を…?」
「しがない公務員ですよ。」
作業服を探ると、安堂は名刺を私にくれた。
両手で受け取り、名刺に目を落とす。
「…お役所の方なんですね。未来都市計画課…?」
「まぁ、一応。名ばかりですよ。それより…本題に入りましょうか。」
ちまちまとつつくように食事をする私とは対照的に、もぐもぐと大口を開けて食事をする安堂を見て、私は少し顔が綻んだ。
「あんまり、重く考えないでください。」
「え?」
「イベントの係の事です。計画では、最初の方だけにやはり人員が必要で…っていうのは、イベントの資金集めから始めるために…まずこのリストにあるスポンサー廻りから始めなくちゃいけなくて」
安堂はごはんを大量に口に頬張ると、書類バッグからホチキス止めされた書類を取り出した。