「同じ空の下で…」
「由美…蓮と付き合ってるんだって?」
「ううん、そんなんじゃないよ?」
「嘘!…由美、隠さないでね?」
「本当にそんなんじゃないって!別に正式に、『付き合いましょう』とか言われてる訳じゃないし…一緒に居る時間が何となく増えてるっていうか…」
「…そんな事言ったって、そういう事とか、してるんでしょ?」
「…まぁ、成行きでね♪」
恥じる事なく、由美はサラッと蓮との事を話す。
そのサバサバした感じが女の私から見たって、とても魅力的だった。
「…いいなぁ。羨ましいなぁ…」
由美の性格、そして蓮との事を含めて、私は本音がポロリと出てしまう。
「艶香だって…瞬が居るじゃない~」
由美は飲みかけのピンクグレープジュースを一気に飲み干すと、私の顔を大きくて丸い瞳で見た。
「…瞬は…居なくなっちゃうんだよ~…?」
「…ついていったら?」
「そんなの、無理に決まってるでしょ。」
なんの根拠もなく、私は言い切る。
「無理かどうかなんて、行かなきゃ分からなくない?」
「…一度もそんな事考えた事ないよ。明らかに…足手まといでしょ…」
食べかけたドルチェをつつきながら、俯く。
「瞬は…昔っからそう。自分の弱いとことか、こっそり努力してるとこなんて絶対見せない人…。中学からそうだったよ。艶香に見せたくないんだね、自分がアメリカ行って苦労したりする所とか…。」
そう由美に言われ、この前見てしまった、瞬の涙を思い出す。
何となく、その事は言ってはいけないような気がして私の胸の中にしまい込んだ。