「同じ空の下で…」

「お疲れさまぁ…!!」


「すっごい、良かったよ~!最高だった!」


目を真っ赤にしながら、由美が私に抱きついてきた。

可愛い小さな肩を抱き、また私も涙が出そうになる。


「ううっ…!」


感涙の涙を流し、私の腕の中で由美は泣きじゃくった。

そこに、丁度里奈も来て、3人で肩を抱くと、結局私も涙をこらえきれず、号泣してしまった。


「ほんとう…今までお疲れ様ぁ…」


泣きながら、私の頭にあの言葉が浮かぶ。

タケルが最初に言っていた

『やり遂げたその先にある、何か見えないもの』

…きっとそれが、コレなんだと、思った。

達成感にも似た、何とも言えない感情だった。





気を取り直して、急いで飲み物の配布を始めると瞬の姿がやっと目に入った。


瞬の目も、真っ赤だった。


「お疲れ様でした」


そう言いながら、ペットボトルを渡すとさらに目深に帽子を被り、


「…サンキュ。」


と、私からそれを乱暴に奪い取った。


私はそのまま飲み物を配り続け、その仕事を終えると、また舞台の袖に戻りタケルの傍に並んで立った。



「任務完了。」


「ありがとう。最後の出演まで結構時間あるから、控室いっててもいいよ?俺はここで待機してるから。」


「…ううん、いいよ。私もここで待機します…。」


「…そっか。…良かったな、皆の演技。」


「うん、さっき、泣いてきた。」
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