「同じ空の下で…」
「俺、まずいよな。」

タケルがボソッと呟いた。

「関係ないよ。皆が何とかやってくれてるって。」

足に纏わりつく濡れた砂を少しずつ落としながらタケルに返事をする。

「夏になったら、また来たいなぁ。」

由美は空に向けて手を大きく伸ばした。

「…俺は…、その頃は別の海でハーレムかな♪」

瞬は乾いた砂を手でかき集めながら砂山を波打ち際ぎりぎりの所に作り始めていた。

「えっ?!金髪美女に囲まれて??」

「…いいねぇ~。瞬だけ楽園だっ!」

「艶香、平気なの?強いね ~。」

由美が目を大きく開いて私を見た。

「平気な訳ないじゃん!でも、そのロケーション、見たい気がする!瞬、実現したら 写真送ってね。」

「送るわけ…ねーだろー!!」

砂山を作るのをやめたかと思うと、悪戯を企む表情をして、瞬が波を蹴って私にかけてきた。

「…つ、つめたっ!…瞬、何すんの~~…よっーーー!!!」

私もすかさず、やり返す。

そのまま、4人で互いに波をかけあった。


晴れた日の4月と言えども、服が濡れれば段々寒くなってくる。

だけど、そんな事はお構いなしに私達はひたすら、はしゃいだ。



そしてまた、叶うはずもない事を願ってしまう…。



″このまま、時間が止まってくれないかな…″


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