「同じ空の下で…」
砂浜の横にあるコンクリートの縁石に4人で腰かけると、暫く他愛もない話をした。

瞬の中学での武勇伝、タケルの卒業写真の顔がちょっと不自然な事、由美の中学でのモテっぷり…。


体全体で潮風を浴び、海を眺めながら過ごすその時間を愛おしく思っていたのは私だけだったのだろうか?


ひとしきり過ごすと…瞬の車に乗り込んだ。

本当に、またこのメンバーで此処に来たい…────。

後ろ髪をひかれる思いでその場を後にする。


帰りの車の中、タケルの電話が鳴った。

車を運転しながら、瞬はタケルを見る。

遥人が怒鳴って電話かけてきたのが私たちの耳にも聞こえた。

私たちは声を殺し、肩を震わせ笑いをこらえる。


「…わかったよ、これから向かうから。」

『瞬も電話出ないし、おまけに艶香も出ない。あいつら何してんだぁ?!』

「俺は、艶香達の事は知らないよ?」

涼しい顔でタケルがそう言うと、笑いも我慢の限界だった。

タケルが電話を切った途端に皆で大爆笑した。

「俺、艶香の部屋に電話、置きっぱなしだぁ!…そういやぁ、充電しっぱなしだ~…」

「あ、あたしもだ!PCに繋ぎっぱなしぃ~!」

「アタシのも…ないワァ♪変だなぁ、変だなぁ…♪」

「てか…、君たち、ソレ、意図的でしょ?」

タケルは口元を緩めながら私達を睨んだ。
< 237 / 646 >

この作品をシェア

pagetop