「同じ空の下で…」
「おはよう~」
香織さんが私にいつもと変わらない笑顔で挨拶してくれる。
その横のデスクに座ると常務のスケジュールのチェックを始め、同時にパソコンを開き、常務宛てのメールチェックをする為にメール画面を起動した。
本社各位
取締役各位
村越常務様
…様々な宛先のメールのチェックをしながら、個人名宛てのメールをピックアップしてプリントアウトし、一つ一つをクリップで止めると、クリアファイルに入れていく。
その作業を淡々とこなして、デスクから席を離れると給湯室へ行き、熱い煎茶を淹れ、丸いトレーにそれを乗せ、そのまま常務室へ向かった。
重厚なドアを軽くノックする。
「失礼します。」
「おはよう。」
「おはようございます。」
軽い動作で、常務の席にお茶を置くと、すぐさまドアの前に立ち一礼してその部屋を出る。
仕事を始める合図が鳴ったら、書類を携え、またここに来て、今日のスケジュールを読み上げる…。
デスクに戻り、またメールの作業をしながら、常務のスケジュールを確認した。
常務のこの先一か月の予定を確認しながら、ある事に気が付く。
″あ、瞬の旅立ちまで一か月ちょっとだ…″