「同じ空の下で…」
9時の始業の合図と共に総務部の朝礼が始まる。
総務課・秘書課・人事課それぞれの課長からの伝達やら連絡やらをぼーっとしながら…更には二日酔いの気持ち悪さに耐えながら聞く。
それぞれの挨拶が終わると、4月からの研修を終え、総務部に配属された新人達の紹介が始まった。今年は男子新入社員が5名総務部に配属となった。
「早く仕事を覚えるようにがんばりたいと思います。宜しくお願いします。」
眩しい位に活気と希望に満ちた新人達の挨拶が終わると、各々デスクに着きそれぞれの仕事が始まった。
「艶香ちゃん、人事異動のメール見た?」
「…え?ありました?」
「うん、あったよ。」
デスクに着こうとする私の横で、香織さんが小さな声で呟いた。
「…確認してみますね。」
常務宛てのメールのチェックで手一杯だった私は、常務室に行き、今日のスケジュール報告とプリントアウトした常務宛てのメール報告を済ますとまたメール画面を開き、人事異動のメールを探した。
『5.21付 人事異動』
受信ボックスの中の真ん中あたりに、その件名のメールを見つけると添付になってるワードを開いてみる。
『【秘書課】英 艶香 【勤務地:本社】※常務秘書』
自分の人事に異動がない事を確認して、知る限りの社員の人事を確認していく。
その中に今朝、エレベータで出くわした亮太の名前を見つける。
『【設計課】篠田 亮太【勤務地:九州支社】・※出向・現場指揮』
亮太は、本社の設計課から、九州支社へ異動になっていた。