「同じ空の下で…」
九州支社は、本社と違って工場がある支社で現場指揮…それは、九州支社の工場で働く派遣社員や下請け会社に混じって仕事をする事を指していた。
事務方から現場…。
肩書きがあったとしても、プライドの高い亮太にとっては多分ショックに当たる人事だろうと思った。
じゃ、あの受付嬢は…?
「…あの、香織さん?今の受付嬢って…?」
「あの娘は派遣の子だよ。寿退社するって、別の娘になった筈…。あれ?もしや、篠田の…?」
「…はい、多分。今朝、亮太に偶然エレベータで会って…結婚するとかしないとか言ってました。」
私はもちろんの事、香織さんまでもが苦笑いした。
「…ま、いいか。篠田どうせ九州支社だし、更に…あの人事は明らかに降格じゃない…。」
「…香織さんも、そう思いますか?」
「そりゃあ、私達が現場にいって働くようなものでしょ?…それはやっぱり降格でしょ…」
手を動かしながら私たちの無駄話は続く。
「ですよね…。」
「それより、本田部長代理、遂に部長だね!」
「えっ?!本当ですか?」
また私はディスプレイに目を向け、本田部長代理の人事を探した。
香織さんが言った通り、本田部長代理は、ついに営業部長の肩書に変わっていた。
「…さすがだよね。憧れる…。」
「実力派の人事はやはり気持ちがいいですよね。」