「同じ空の下で…」
「いいよ、やったら?俺、横で見てるし。」
「やだよ。人には見せられないような格好するんだから。」
スッピンだと、ちょっと幼く見える艶香は、頬をほんの少し桜色に染めて口を膨らませた。
これが、計算された仕草なら完全に萎えてしまうのだが、艶香に於いては絶対そうじゃないのが良く分かる。
「何か…入れるね?」
パソコンを閉じると、キッチンに忙しそうに行ってお湯を沸かす準備をした。
俺は、お礼廻りをした企業先で頂いたプリンを白い丸テーブルの上に並べた。
「瞬、それ、何?わざわざ買ってきたの?」
「いいや、貰い物。4個あるから2個ずつ食うか?」
「それ、結構有名なお店のプリンじゃない♪」
声のトーンが少しだけ上がる艶香の顔を見ると、目をキラキラと煌めかせていた。
「じゃ、4個全部どうぞ♪」
「ダメダメ。お腹いっぱい食べるスイーツ程、無意味なものはない。『もう少し食べたいなぁ…』くらいの量を食べるからこそ、そのスイーツの価値が上がるってもんでしょ。」
・・・・独自の極上スイーツ論を今、説かれても俺は正直、返事に困る。