「同じ空の下で…」

艶香と過ごす、この何気ない時が一番好きだ。

特別な事など何もしていないのだが、このひとときは俺に安らぎと幸福感を与えてくれる。

そこに居るだけで、ふわふわと浮き上がっているような…癒されている感覚を覚える。

だからこそ、とてつもなく疲れた日は声を聞きたくなるし、こんな風に顔を見に来たくなる。


「瞬、食べないの?」

「食う?」

「元気ないね。疲れた…?」

「…いいや、ちょっと考え事。」


決して無理をしてるわけじゃないが、艶香に見つめられて慌てるようにまたプリンを口に入れた。

そして傍にある琥珀色の飲み物を口に含んだ。

鼻先をかすめる苺の香り…───。


「これ、紅茶?」

「ううん、フレーバーティ。ストロベリーティだよ。苦手だった?」

「いいや、うまい。…ってか、なんつうか、オシャレな飲み物だな。」

「あたし、好きなんだ。実家に帰ると必ずこれが常備してある。中学の頃あたりから大好物なの。」


形が良く、いつだって艶やかな唇の口角を上げながら、ストロベリーティを口に含む艶香の微笑みに再度、癒される感覚を覚える。

「…女子の飲み物って感じだ。」


そう言葉を投げかけると、そのまま寝転び、天井を見上げた。


やっぱり…艶香と過ごす時間てのは…癖になる。



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