「同じ空の下で…」
クルクル回るシーリングファン。
その動きを何気なく見ながら、俺は色々な思考を巡らせた。
アメリカ行きの事。
その後に待ってる想像できない生活の事。
プロジェクトの事。
日本で借りてる部屋の退去のことやらの残ってる事…。
そして…艶香との事…。
言葉の壁はなんとでもなると思う。
そこそこの英語力は備えてるつもりだし、空いた時間はそれなりに勉強もしている。
それが現地で通用するかどうか。
そんな事を日本に居る間に考えても仕方ない。
消去法で、その事を考えるのはやめた。
日本で借りてる部屋っていうのは…。
家族と距離を保つ為、俺は自分で別にアパートを借りていた。
そこも、そろそろ退去の準備に取り掛からなければならなかった。
部屋の荷物なんてさほどないが、ベッドなどの大きい荷物を実家に一時的に保管してもらわなければならない。
そのタイミングを…ちゃんと考えておかなければならなかったのだが…
この諸々を考える事から逃げるように、お礼廻りに出歩いた。
なんとかなるだろう、なんとかするだろう、なんとかしてくれるだろう…
俺の今までの人生はそんな事ばっかりだったけど…
ちゃんとしなければいけない。
「あーーーーー、めんどくせー」
考える事を放棄するかのように、俺は天井に向かって叫んだ。