「同じ空の下で…」

前菜の可愛らしいラディッシュが綺麗に並べられたサラダは、バルサミコの酸味が良く効いていた。

薄緑色のブロッコリーのポタージュに、ふりかけられたピンクペッパーとブラックペッパーが程よく絡み合って、口の中でまろやかな風味を醸し出す。

「…おいしい…♪」

三人でその言葉を連呼しながら、無言で食を楽しむ。

メイン、イサキのソテーはブイヨンソース仕立てで、横に添えられたアスパラとズッキーニの素揚げにはジュレ状のソースがかかっていて、脇役にしては名脇役と名付けたい程のジュレの味。


真似したくても、絶対に真似できない…。

そんな味だった。


「…かなり手が込んでるよね…。ほんと、美味しいっ♪」

口許を軽く押さえながら、由美は夢中でフォークとナイフを操っていた。

「なんか、今日だけで一気に体の中から綺麗に洗礼を受けた気持ちになるっ」

「お気に召していただいて光栄ですっ」



…そう言って私達は夢中で食事を楽しんだ。




そして、アールグレイの紅茶の焼き菓子とバニラジェラートが添えられたドルチェの盛り合わせと、品のよい香りのする紅茶が運ばれてきて、里奈おすすめのクイーンコースは、フィナーレを飾る。


私達は、気分がとても高揚していた。



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