「同じ空の下で…」
『どんなに会いたくても、今、瞬の邪魔をしてはいけない』
足を止め、夜空を見上げながら何度も自分に言い聞かせる。
今、瞬は色々な事情で忙しくなっているはず…。
その忙しさを…今は邪魔してはいけない時なんだ。
勝手に、そう言い聞かせて無性に会いたい気持ちを抑えた。
たった1~2日会えないだけで寂しさや切なさを覚えてしまい、すぐにでも向きを変えて、彼に会いに行ってしまったら…
…たった今、自分に言い聞かせたこの決意に負けてしまったら、
私達には、喜べるべき2年後が…見えない。
寂しさに負けてはいけないんだ…。
…星が瞬く夜空から、自分の進むべきアスファルトに目を落とし、俯き加減でアパートへの帰路を少し足早に歩いた。
翌日も、その翌日も…
瞬からの連絡は来なかった。
私も、瞬への連絡は控えた。
寂しさを紛らわせるように、仕事の後はジムへ向かい、気持ちが無になるまで泳ぎ続けた。
不思議と昔から水泳が大好きで、水の中を何度も行き来している事に全く苦痛を感じたことが無く、むしろ、精神統一の手段になるというか…。
昔から、ストレスを感じると、泳ぐ事でストレスを発散させていた。