「同じ空の下で…」
『降水確率は70%です。傘の準備をしてお出かけくださいね♪』
朝の情報番組で美人なお天気お姉さんが言って居た通り、帰宅途中にゲリラ豪雨に見舞われた火曜日の定時後。
傘の意味も無く、足元がずぶ濡れになってしまい、いつもより余計に足取りが重く感じ耐えかねて近くの店先で雨宿りをしていた。
濡れてしまったバッグの水滴をハンカチで拭いていると、バッグの中でブルブルと震えながら忙しく着信を知らせる光が私の目に入ってくる。
慌ててスマホを取り出すと、すぐに電話に出た。
「…も、もしもし?」
「雨、すごいねぇ~…」
「ごめんなさぃ…雨の音で上手く聞こえない…誰?」
「…思ったより、元気ジャン♪」
「・・・・?あれ?タケル?」
「安堂です~」
「なぁんだ。どした~?」
「艶香、今、花屋とカフェの間で雨宿りしてるだろう?」
私は慌てて自分の居る場所の両隣を確認すると、タケルの言った通りに花屋とカフェテリアの間の隙間に体を収めるようにして雨宿りしていた。
「いやだ、何で知ってるの?」
「そのまま、視線を反対側の道路に向けてみ?」