「同じ空の下で…」
由美にそれとなく後押しをされ、私は嬉しかった。
事務所は、雑居ビルの中の2階にあり、ざっと20畳くらいのところで、さっそくカーペットが敷かれていて、タケルがパソコンで何か作業していた。
「タケル~」
由美がタケルを呼ぶとこちらを振り返った。私も手を軽く上げて、タケルに挨拶をする。
「ま、適当に座って。なぁ、あとここに何が必要だと思う?」
事務机、会議用の低いテーブル、固定電話2台、FAX、エアコン、電気ポット、プリンター等…
「充分じゃないかな?」
私はタケルに言った。
「俺もそう思う。いいよなぁ、足りない物は後足しって事で。」
「うん。いいと思う」
「あとは、ぼちぼち集まってくると思うから、適当にその辺片づけたりしててもらうと助かるな。」
「わかった。」
そう言うと、乱雑に散らかった書類をそろえ始め、ファイルにまとめる作業を由美と一緒やった。
「つやか、さすが。手際いいね~」
「そんな事ないよ。」
バタンッ!
そこにぼちぼち集まってくる人たち。
「タケル、あれから何人くらい迄、人、集まったの?」
「声をかけたのは50人くらい。そのうち20人くらいは、今日、ここに来てくれる事になってる。」
「けっこう集まるんだね!スポンサー廻り何とかなりそうだね。」
「そだなぁ、おかげ様で何とかなりそうだなぁ」
そんなこんなで、こんな風にして
私はその場になじんで行った。
昨日色々あって、悲しくて泣いたはずの亮太の事なんてすっかり頭から離れていて、そんなんでいいのかなぁ…と自問自答しつつ、その瞬間(とき)を過ごしていた。