「同じ空の下で…」
本音を吐き出してしまえば、本当はそんな風にドンと構えている余裕なんて微塵も無い。
本当は、会いたくて仕方ない。
自分から、連絡したくてしょうがない。
そんな子供じみた幼稚な思いを悟られたくないっていう、ほんの小さなちっぽけで意味のないプライドが、自分は強いという、精神的に強い女を勝手に作り上げてしまっている。
そう自分に言い聞かせてでも居なければ、簡単に朽ちて行く花の如く…水分を失って枯れてしまう花のような状態だった。
甚だ馬鹿馬鹿しい事でもあるのだが、今はそうやって精神を保たなければすぐにでも自分の精神は壊れてしまいそうで仕方ない。
恋愛依存。
その言葉にぴったりと嵌りうる…そんな脆い状態だった。
それから数日。
瞬が元気でやって居ようとも、彼の身に何かあったとしても、新しい朝は何食わぬ顔してやってくる。
蒸し暑さで目覚める土曜の朝。
清々しい5月の朝とはかけ離れた、不快指数が高い気だるい梅雨の季節。
カーテンを開けると、雲が厚く広がって鬱蒼とした空気を生み出している。
外は優しく霧雨が降っていて、やけに眼前の雑草や木々の緑が生き生きとして輝いていた。