「同じ空の下で…」

即、送信してみる。


こっちの顔なんてわかる訳ないし、すぐに返事が来る訳でもないのに、慌てて髪の毛を梳かし、にやける顔に喝を入れるようにして、ペチペチと頬を両手で打った。


[お目覚めいかが?]

…まるで、そこに瞬が居て、声が聞こえてきそうな文面。

低音なのに鼻にかかって、少し掠れてる瞬の目覚めの声を思い出し、その時の寝ぼけた表情が脳裏に過った。

ますます、顔がにやけてしまう。

恋に関しては、本当に単純な脳の作りなんだなって、自分に笑いたくなってしまう。


[いい気分です。そっちは?]


[ぼちぼち。今日は過ごしやすい。外は晴れて居て、気温も穏やか。湿度がないから快適だよ。]

[今、どこに居るの?]

[ジェームスの事務所。デスクの前。今、事務所で留守番してる。暇~。しりとりしよう?]

[ばかじゃないの(笑)]

[相変わらず、つれないね。兄弟♪(笑)…元気か?]

[…ぼちぼち。]

[俺が居なくて寂しいだろ?]

・・・・そう言われると…答えに困る。

強がればいいのか、正直に答えればいいのか…否か。

正直に寂しいと答えて、落胆されたりするのが、怖かった。

少し考えて、寝起きの脳をたたき起こすかのように、頭を少し振る。


[寂しいけど、寂しくないフリしてる。]


…今打てる自らの心の内は、所詮この程度だ。

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