「同じ空の下で…」
「無理…。瞬の第一声で、栓が外れた…。ご…めん………こんなんで…。」
「……大丈夫。なんか、艶香らして、いー。」
少しずつ、平静を取り戻しながら、スマホを利き手に持ちかえる。
「瞬、…元気?」
「元気だよ。…忙しくて、なかなか連絡出来ずごめんな。」
「ううん、忙しいのに…電話ありがとう。」
「暫く、あちこち連れ回されてたからさ。今日からやっとデスクワークに入った。……あれから、誰かと会った?」
「…会ったよ。タケルに偶然。焼き肉食べてきたよ。」
「そっか。変わらず元気ならそれでいー。」
「投稿、見たよ。アレはどこ?」
「あー、あれ!アレは…どこだったかな。シアトルではないな、確か。むしろ反対側の方だから、オレゴンとかの方…」
「そうなんだ?暫く観光してた感じ?」
「うん。ま、ジェームスの熱い歓迎を受けていた。楽しかったよ。今週はいって、やっとプロジェクトチームと合流して、本格的に腰を据えたような。…それより、艶香?」
「ん?」
「…ちゃんと変わらず生きてるか?」
「生きてるわよ!だから電話してるんじゃない。」
「寝れてる?」
「…ま、何とか。瞬は?」
「…今は寝れてる。時差かな。慣れなくて最初の頃は寝れなかった。……誰かさんのぬくもりもないしさ……。」
私だって、ほんとはあまり寝れてないよ、瞬…。
寂しくて…瞬の腕枕が恋しくて……。
眠っても浅いんだよ?……何で、そう素直に伝えられないのだろう……。