「同じ空の下で…」

こんな時だけ、変に強がる自分。

「…あの…ね、瞬。…本当は…」

「…ん?」

「…私も同じ。…慣れなくて…眠れない日がいっぱいあったんだ…。」

「…そっか。」

「うん。」


目線を落とし、少し剥がれ掛けたペディキュアに触れながら…瞬の声に耳を澄ませた。

「・・・・日本の…そっちの空は?」

「え?」

「…今日の天気、どう?」

「…一日中、雨だよ。…そっちは?」

窓の外に目をやりながら、答える。

朝から全く変わらない、霧雨模様の日本の空。

「…快晴だった。今は綺麗に星空が見える。…今、同じ…空を見てるんだな、俺たち…。」

「…うん、そうだね。」


いつか瞬と見た星空の光景を思い出し、それを見上げる瞬の横顔を思い出す。


懐かしさ…

美しさ…

愛しさ…

今、傍に居ない…切なさ。




「…会いたい、瞬。」


思わず出てしまう本音に、自分でも驚いた。

言ってしまったその言葉をすぐさま取り消したい気持ちで一杯になる。


「…うん、俺も。艶香に、会いたい。」


その言葉で、少しだけ安堵感を覚える。

思わず出てしまった本音に、軽く後悔してしまっていた気持ちを、救われた気がした。





< 331 / 646 >

この作品をシェア

pagetop