「同じ空の下で…」
第15章 日常⇔非日常
■第15章 日常⇔非日常



眠る時、必ず右を向く癖がついてしまって居る。

瞬と一緒に眠る時は、必ず右側に瞬が居た。

私はいつだって瞬の左側が定位置で、そこに寄り添うようにして眠っていた────


瞬が居なくなった今、私は右を向いて眠る癖が直らない。




手持無沙汰で両腕を伸ばす。

あの日までは、この両腕を伸ばせば必ず瞬の温もりを感じて眠る事が出来た。


今、腕を目一杯伸ばしたところで、この腕の中に触れる彼の体温は…感じることが出来ない。






瞬と電話した夜、久々に泣いた。



会いたくて、触れたくて、恋しくて…泣いた。


すっかり我儘になってしまっている。

電話が来ただけでも、充分嬉しくて仕方なかった筈だったのに。

恋愛感情っていうものは、それ以上を欲してしまうものなのだ。

自分でもいい加減こんな女々しさには呆れてしまうのだが、自然と涙が溢れてしまって、どうしようもできなくなって制御できないのだ。


心をコントロールできる、更には涙をコントロールできるリモコンがあったらと思う。


濡れたまつ毛を必死に閉じ、せめて夢の中で会えたら…なんて乙女チックな事を考える。


…思考を巡らせれば巡らせる程、眠れない。


時を刻む時計の秒針の音がやたらと耳障りに聞こえて仕方ない。


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