「同じ空の下で…」

「ねぇ、嘉斗や遥人との出会いは~?」

由美は興味津々の顔で初対面の女の子たちに問う。

「飲み会だよ~」

「合コン??」

「はい♪うちの職場の子がセッティングしてくれて、嘉斗さんの会社の方と大学時代の知り合いとかで~…で、嘉斗さんと私がお付き合いを始めて、お互いにその友人を紹介して、星羅と遥人さんが付き合ってる感じです。」

「へ~!同時に合コンで知り合ったのかと思ったっ!じゃ、遥人と星羅ちゃんは、まだ付き合い始めたばかり?」

ショートカットの星羅ちゃんは、少しだけ頬を染め、目を細くして笑うと

「はい。まだ3週間くらいです…。」

と、答えた。


初々しいその姿に、私の顔も思わず綻ぶ。

「他人の恋話って新鮮でいいよね~。こっちまで花畑にきちゃったような浮かれた気分になれてしまう~…」

「ほんとっ♪…仲よくしてやってね、嘉斗も遥人もどっちも根はいいヤツだから~。何かあったら私に連絡ちょうだい!説教しとくからっ!」

「おねがいしま~す…て事で、連絡先聞いてもいいですか?」

「おっけ~!ちょっと待ってね。」

由美はバッグの中をごそごそと漁ると、スマホを取り出した。

由美との交換が終わると、やけに積極的な紀子ちゃんは私の顔を見た。

「…あ、私も?…でも、私は由美みたいに説教とかできないけど…。」

「ううん、そんな…。その為じゃなく、英さんのも、教えて貰ってもいいですか?」

「わかった…ちょっと待ってね?」

慌てるようにして、スワロフスキーの番犬を探すと、その子と連絡先を交換した。
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