「同じ空の下で…」
一体なんだというのだ。今日という日は…!
そんなに、私はどこかおかしいのか?
…朝から香織さんといい、セレブ高梨といい…。
『週末に、恋焦がれていた恋人と連絡が取れた』
…というだけで、他人から見た私はどれだけの変貌を遂げたのであろう?
…馬鹿馬鹿しい…。
常務に頼まれた書類を届け終え、今度はエレベーターホールでエレベーターを待っていた。
エレベーターのドアが開くと、またまた驚いた事に、セレブ高梨がそこに居た。
「…!」
…ツイテない。
いや、里奈の言って居た事が本当だとすれば、彼女の会社の女子社員にとっては最高でラッキーでこの上なく素晴らしい日なんだと思うのだが…。
しぶしぶ開かれた箱の中に乗り込み、俯き加減でドアの傍に立ち重役室のある7階のボタンを押した。
「良くお会いしますね。」
「そうですね。」
「今日は、お仕事は忙しいんですか?」
「いいえ、普通ですよ。」
「じゃ、村越さんに会って行くかな。村越さんのスケジュールは、英さん?」
「…特には…。常務室でお仕事されてるかと思います。」
「じゃ、行こうっと。…ところで、英さん。」
「はい?」