「同じ空の下で…」
「どうしたらって…普通に出社して、着替えるか、着替えないかは常務に聞いて…。例えば、制服に着替えたらもう一度ここに戻ってこなきゃいけないし、私服のままなら、会食先から直帰できるでしょ?…まず、そこを常務とお話ししてから決めたらいいよ。特に決まりなんてないから、臨機応変に対応するといいかもね。」
「なるほど…。ありがとうございます!」
「いいえ~。どういたしまして。…さて、私はそろそろ帰るけど、つやちゃん、まだ居るの?」
「…適当に、帰ります。」
「そっ。じゃ、お先するね。」
「お疲れ様でした。」
香織さんに挨拶をすると、私はまたパソコン画面に目線を移した。
仕事をするフリをしながらも、この後の事を考えている。
一度、待ち合わせた場所に行って、こんな事は今後、迷惑だと高梨さんに伝えたらいいだろう…。
この事が原因で、会社の取引とかが上手く行かなかったら…と、かなり大袈裟に考えてみたりもする。
今日は、確か高梨さんは、本田営業本部長との打ち合わせに来たはずだから…本田さんに迷惑でも掛けたら申し訳ない…なんて事も考えてしまっていて、無限大に色々な事が浮かんできて、正直…どうしたらいいのか良く分からなくなってきていた。