「同じ空の下で…」
パソコンを閉じると席を立ち、ロッカールームへ行き、私服に着替えて帰る支度をした。
靴を履き替え、身だしなみを整えて、ロッカーのミラーで顔をチェックし少しだけ化粧を直す。
どこか自信の無い自分の目を見る。
私に興味を持つって…相当な変わり者だと思う。
特別、綺麗な目鼻立ちに生まれた訳でもないし、チャームポイントを自己アピールしろと言われても、どこも無い。
唯一、言えるとすれば、瞬が好きだと言ってくれて少しだけ自信がもてた『唇』。
丁寧にそこにリップを塗り直しグロスを重ねると、ロッカーを閉じた。
ロッカールームから出て一階フロアまで、エレベーターを使うか階段を使うかを迷い、エレベーターホールに向かい、エレベーターが到着するのを待つ。
開かれた箱の中には、数人の社員が乗って居て、特に知ってる顔も居なくて、私は安堵して乗り込んだ。
一階フロアに到着して、箱の中の社員が下りて行くのを見届け、一番最後に降りてバッグを持ち変えると数歩だけ歩き出して、また私の足は止まる。
一階ロビーの長椅子が目に飛び込んできて、また、セレブ高梨のオーラを目の当たりにしてしまったのだった。
あの…コーヒーショップで待ち合わせじゃナカッタンデスカ…???