「同じ空の下で…」
「…解りました。お付き合いさせて頂きます。ですが、送って頂くには及ばないので…用事が済んだら帰ります。それでいいでしょうか?」
溜息混じりにそう答えて高梨の顔を見ると、眼鏡越しの瞳がまた、細くなって顔だけで笑って、微笑んでいた。
「わかりました。ありがとうございます。」
こんな状況を踏んでからの『コーヒーショップでのひと時』に、楽しいと思える事が待っているような気が…全くしない。
相変わらず、拉致にでもあったかのようにして腕を掴まれたまま、歩き出した。
さっきは後ろを重い足取りで追いかけていたが、今度は、背がやたらと高い、セレブ高梨の左側に肩を並べて(どう背伸びして頑張っても肩は並ばないが…)歩き始めた。
いつか偶然、高梨と出会ったあの場所に。
瞬と待ち合わせていた、あのコーヒーショップに…────。