「同じ空の下で…」

「す…すいません。口が過ぎました。」

「いいえ、貴方に対しての言動ではないです。その、『相応しい女性』についての世間一般的な見解についての馬鹿馬鹿しさが、どうも気に食わないだけです。」

「そうですか…。でも、私自身も、高梨さんに相応しい女性っていうのは…そうゆう女性ではないかと思いますが…。」


「造られてしまった人間には興味が湧かないですね。」

吐き捨てるようにそう言い放つ高梨は、遠くを見た。


「英さんの様な瞳の女性の方がよっぽど魅力的に見えます。」

「それは、きっと、高梨さんから見たら物珍しいだけに過ぎないだけですよ。」

「どうゆう意味ですか?」

「私に興味があるのではなく、今まで出会った事の無い人間=私のような凡人…。それは、貴方の生きてきた周りに居なかったただの凡人だからですよ。私が特別な訳じゃなく、きっと…誰でも良かっただけなんです。」

「そうゆう屈折した考えも、お持ちなんですか。驚きますね。本当に貴方と話していると新鮮ですよ。楽しい。」

「・・・。」

謙遜したり自分を下げたりしてみたって、どうしても私に興味がある事を主張したいらしい高梨は、さっきよりも瞳をキラキラとさせて私を見た。

「ただ、一つだけ言いたい。貴女は充分に魅力的な女性なので、もっと自分に自信を持った方がもっと輝けるのではないかと思います。」

「いいえ、私は…そんな人間ではないです。勿体ないお言葉です…。」



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