「同じ空の下で…」

こんな事を考えながらホームで電車を待ってると、無性に瞬に会いたくなる。

声が聞きたい。

会いたい。

抱きしめたい。

抱きしめられたい。

私の事が好きだとか大切だとか…私への想いを聞かせて欲しい。

そして恥ずかしいと思いながらも、安心したい。

瞬、今頃、何をしてるんだろうな…。





・・・・────

鬱蒼とした淀んだ空気。

人いきれが立ち込める駅のホーム。

ふと空を見上げても、星一つ見えない…梅雨特有の重い空。


会いたさが募る。


スマホを取出し、胸の内のままに想いを込めて、メッセージを送る。








『瞬、会いたいよぉ…』












────・・・・



「土曜日の会食の件だが…、少し改まった格好で同席していただきたいのだが、可能かな?」


「可能です。承知しました。」


「携帯電話等は、電源を落とす様に。」

「承知しました。」

「以上だ。」

「では、下がります。」

「ご苦労様。」

常務に向かって、一礼すると、静かに常務室を出た。


瞬に、昨日メッセージを送ったというのに、今の今まで全く返事が無く、昨晩はふて寝するようにして、眠った。…というか、目を瞑った。

ベッドに横たわっても、全く眠れず、暫く宙を見ながら瞬との楽しかった思い出に耽って、静かに目を閉じて、数時間後にやっとの事で眠りについた。

< 367 / 646 >

この作品をシェア

pagetop