「同じ空の下で…」
四つんばいになり、右耳と右肩にスマホを挟み込みながら部屋の隅からソファに移動して、ごろりと横になり、私は宙を仰いだ。
そして、何から話せばいいのか分からずに居ながら、言葉を探し口を開くと、いきなり結論から切り出してしまったのである。
「瞬、…お互い、頑張ろうね。」
「な、何だ、急に?変だぞ、艶香。ほんとに、何かあったのか?」
「…ううん、なんも。」
勿論、セレブ高梨の事を言いたいのは山々だった。
だけど、ストレートに話せずに居る。
それは、やはりこの距離で瞬に変な不安を与えたくないと…会社帰りの帰路を歩きながら思ったのだ。
秘密にするつもりもないが、敢えて言わなくてもいい様な気がしたのだった。
私が…私の意思がしっかりしてれば、いい話なのだ。根本は私の意思に原因がある。
「『瞬、会いたいよぉ…』なんてメッセを貰って、俺はどれだけ艶香の事を心配したか…一日中考えてたぞ?寝てる時以外は…。」
「あら…寝てる時にも是非私の事考えててよ?」
冗談めかしく私は言った。
「そうゆう能力はあいにく持ち合わせて居ないんだよな。さすがの俺も。…艶香、今日は何してた?」