「同じ空の下で…」

そう、この腕を伸ばしても触れられない距離が、瞬を成長させてくれている。


「瞬は、全然小さくなんかないよ。充分…大きくなってる。あたしだよ…。あたしがなんだか…自分が情けない。」

「…自分に自信を持てって、艶香。」

────…その言葉。

セレブ高梨にも言われた言葉だ。

そして、出会って間もない頃に、瞬にも同じような事を言われた気がする。


「分かった。自信、持てるように…頑張ってみる。」

「…少しは、晴れた?」

「だいぶ。」

「お役に立てて嬉しい限りだな。…艶香、そしてさ…、もう一個。」

「ん?何?」

「我慢するなよ。寂しい時…俺は傍に居てやれない。…うーん…何て言ってあげればいいんだろうな…。」

「…えっ?」

「……寂しい時に、寂しさに耐える必要はない。…俺に縛られずに、自由にしてていいんだから。恋を見つけたら恋をしたらいい。…ただ、ちゃんと俺に言って…。」

「…な、何を言い出すの?急に。」

「好きな人出来たら、ちゃんと言いなさいよ~」

「出来る訳ないでしょ?!」

電話の向こうから、瞬の高笑いが聞こえる。

「相変わらず…からかうとムキになる~」

「ま、またなの?!」

「半分からかい、半分本気っ♪」

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