「同じ空の下で…」
本田部長との商談を終えて今度はエレベーターで、永くからの付き合いである常務の村越さんに会いに行く途中にも、また彼女と出会う。
『ハトが豆鉄砲を喰らった』と言う言葉が相応しい。
エレベーターホールで、目を大きく見開いて驚いてる、英 艶香。
そして…2人っきりの箱の中。
理性無くして思いのままに行動するなんて簡単な事。
今、俺に背を向けてる彼女のその背中を抱きしめる事だって、触れたい部分に触れる事だって簡単に出来てしまう状況だ。
俺は彼女の小さい背中を見ていた。
そして、声をかける。
話し方や彼女の声のトーンが、やけに心地よく感じる。
彼女の話す言葉が、例え怒っていたとしても、全く攻撃的に感じない。
癒される感覚を覚えてしまった俺は、彼女を少し強引ぎみに誘った。
怒らせてしまったのかもしれない。
嫌われてしまったのかもしれない。
だとしても、何も行動に起こさずには居られない。
たとえ恋愛関係に発展しなくてもいい。
横に居る事が叶わないならば、
一番近くの他人になりたいと思った。
強い意志を主張する瞳。
女性らしい愛らしい唇。
スキを見せない、更には媚びない。