「同じ空の下で…」

いつものように仕事をこなし、少し定時を過ぎて退社した常務を見届け、自分のデスクに戻る。

「すいません、昨日は休んでしまって…」

隣の席の香織さんもまだ席に居たので、昨日休んだ事を謝った。

「問題ないよ~。特に常務の件で急がなければならない事も無かったし、大丈夫だよ。」

「ならば…良かったです。」


常務の九州出張の処理作業をしながら、香織さんと会話を交わす。


「有休なんだから、堂々と休んでもいいのにね、本当は…」

「そうですよね。私、結構、有給が貯まってますよ。」

「私も。年度末にいつも繰り越しになっちゃうなぁ…。そういえば、昨日は満喫したの~?」

「…いいえ。昨日は一日中、引っ越し作業でした…」

「…え?引っ越し?…あ、もしかして、結婚するの?」

「いえいえ、全然っ。むしろ・・・・その・・・・反対ですよ…。」

「え?・・・・設計の…篠田と…その、…別れたの?」

「・・・・はい。」

「・・・・社内恋愛って・・・・、別れた後が・・・・気まずいよ・・・・ね。」

「まぁ…そうですね・・・・。でも、フロア違うし…」

「まぁね…。・・・・色々大変だけど、頑張っていこっ!」

「はい…。ありがとです。」


出張精算書を課長の席に持っていき、判を貰うと、経理課へ持って行った。


「…じゃ、香織さん、お先します。」

「うん、お疲れ様。」


ロッカーに戻り、携帯を取り出すと、瞬へメールした。


[本文:仕事おわりました。]

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