「同じ空の下で…」

「もう、誕生日を迎えたんですね。…残念だな。」

「先に歳をとらせてもらいました。でも、正確には、誕生日の結構前に私にくれたんです。『誕生日にこだわる必要がない』って。でも、一応、名目上は、誕生日プレゼントです。」

「遅ればせながら…お誕生日おめでとう!」


あの日、祝ってくれた同級生の面々が私の脳裏に蘇る。

幸せだった───…

何もかも。

私達を遮るものもなく、距離も感じなかった、私と瞬。

「准一さんは…、お誕生日はいつですか?」


「10月です」

「じゃあ、これからですね。」

「今年の誕生日は特別でね。誕生日を機に、僕の肩書が変わると思います。父から既に話をされてるんですが…。」

「…昇格?と言う事は、社長職につくの?!」

「そうです。父は…会長職になり、経営に関しては助言者にあたり顧問になる予定です。」

「…すごーい!」

「だからこそ…早々と結婚をと、家庭を持てとうるさく言われているんです」

「それで…お見合いを?」

「そうです。もう今年に入って何度となく見合いの話を持ってこられてます。大抵は仕事と断りを入れ、断っていたのですが、今日は、さすがに村越さんのご紹介とあって…断る訳にもいかなかった。」

「…そうだったんですか…」

「数回はお断りはしているんだ。けど、あまりに断ってばかりも居られず…。…言わば、僕と艶香さんの出会いは、きっと偶然ではなく必然だったのではないかと…」




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