「同じ空の下で…」
「ひつ…ぜん?」
「そう。出会うべくして出会った。」
高梨から目線を逸らし、車に当たる雨粒を見ながら暫くその言葉の意味を考えていた。
偶然ではなく、必然の出会い…────。
いわば…導かれた…出会い…?
私は頭をブンブンと横に振り、その答えをかき消そうとした。
あ・り・え・ま・せ・ん!
都合よく考えすぎであろうとも思う。
そして、きっとこれが、彼の″手″(口説き文句の一つ)なのかもしないと、彼が出したその答えを全く持って受け入れようとはしなかった。
少し見慣れた通りに差し掛かると、蛇のように連ねた車の列が見えてきた。
この通りからは、いつもなら歩いて数分で自分のアパートに着く。
「准一さん。」
「なんですか?」
「もう、ここで降ります。ここから近いですし、この渋滞なら、歩いた方が早いかもしれないので…。」
「ちゃんとお送りしますよ?」
「ううん、少し、歩かせてもらえませんか?…今日は、本当にありがとうございました。」
そう答えると私は自分勝手に、自らの荷物を纏めて降りる支度をした。
バッグから折り畳み傘を取出し、カバーを外す。
「…雨が…お好きなんですね…」
ニヤリと含み笑いをする高梨に、私は苦笑する。
「別に、そうゆうわけじゃ…。」